鍼灸治療にエビデンスは必要か?
「鍼灸治療にエビデンスは必要か?」 講師 米山クリニック院長 米山 榮 先生
1月15日、新年意見交換会に先立ち、今年度第6回目となる学術研修会が、米山クリニック院長、米山榮先生を講師にお迎えし「鍼灸治療にエビデンスは必要か?」と題して開催されました。
EBMの重要性や有用性は鍼灸師も認識しているところではありますが、そこでは二重盲検法(RCT)の洗礼をうけた治療法のみがレベルの高いものとされ、鍼灸治療のような個人的経験による治療などは「あてにならない」とされています。一方、東洋医学は「個」に対するアプローチを重要視しており、そこにはEBMでは埋めることのできない「隙間」があることを、われわれは日々の臨床で感じさせられます。
今回の米山先生のお話は、そのような、ある種のジレンマを解消するための重要な示唆を頂けました。
EBMの尺度を担っている統計的考えには、本来医療において最重要視されなければならない「個」の存在が希薄になっているとのことであり、そこに医療の本質との乖離が生じていることの懸念を感じずにはいられません。
われわれ鍼灸師は、日常臨床において一人一人の患者と丁寧に接し、患者の声に耳を傾けることにより、その「隙間」を埋めることが可能となるのかもしれません。患者一人一人と真剣に向き合う事の重要性を、お話を通して改めて再認識させていただきました。